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経営ブログ

2024.03.04

Break ThroughしつつあるAI技術

監査役 古川 正志

 2024年3月2日に函館で開催された小さなシンポジウムに参加してきました.このシンポジウムは複雑システムに関する研究が討論される場です.発表者の多くは高専生・大学生・大学院生・若手の研究者が主体です.いずれも野心的で萌芽的な研究が多く,その成果もうまくいったりそうではなかったりですが,今後の発展が楽しみなものばかりでした.今回の多くの研究発表ではAIをすでに実用的な技術として取り入れ問題解決を行うテーマが多く,まさにAI技術は問題解決のツールとしての段階に入ったと感じました.発表されたテーマは,医療画像の処理,欠落した音声の復元,水耕栽培,競馬の予想,浄水処理,等々の多岐にわたりますが,AI技術はさりげなくいとも簡単に利用されていて,表題にあるようにAIはBreak Throughしつつあることを実感させられるものでした.
 Break Throughのきっかけはカナダ大学Hinton教授グループが提唱した深層学習のAlexNETでした.その後に学習のメカニズムがエンコーダ・デコーダという思想に変わったこと,時間軸の処理に超短期メモリー(LSTM)が発展しその延長上にAttention技術と,先のエンコーダ・デコーダと組み合わされTransformer技術が完成した.そしてこれらの組み合わせから生成AIが開発され,BERT,ALBRAT,T5,ChatGPT等が自由に誰でも利用できるOpenな環境にあることだと思われます.勿論,ここでは言及しませんが並列計算用のGPU等の発展やその製造技術の飛躍的な進歩もあります.
 これらに加えて,AIのBreak ThroughにはAソフトウェア技術の進歩があるかと思います.AIに関するプログラミングの開発は,例えばPYTHONでみると必要なプログラムの部品がOpenに提供されていて,初めてAIのシステムを導入しようとする開発者でもあたかもレゴブロックを組み合わせるようにシステムを構築することが可能になりました.
 10年前には特異点問題(シンギュラリティ)と呼ばれる2045年にはAIはAI自信を自ら開発し始める,すなわち人間の知能をAIが追い越すという問題提起が行われたのですが生成AIの出現以降,本当に現実見が帯びてきました.
 冒頭に述べた若い研究者がこうした環境で次々と面白い有意義な研究開発に取り組んでいることに成功や失敗はあるでしょうが,たのもしい印象を感じたシンポジウムでした.

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