早いものですでに7月になり、今年も半年がすぎてしまいました。今年の6月は、30度を超える日が多々あり、これまで7月にならないとエアコンを使用したことのない旭川でも何回かエアコンを使用してしまいました。それでも時々雨が降るので、菜園に水やりをする必要性は余りありませんでした。
前回、推論を証明するには条件文を論理積に書き直し、条件の記述を論理計算として行うときトートロジーが成立していれば推論が正しいことを示しました。今回は、この計算を用いて三段論法が正しいことを証明したいと思います。
三段論法には、論理数学では三段論法(肯定法)、三段論法(否定法)、離接三段論法、仮言三段論法、などがあります。この中で仮言三段論法は世間で言われる三段論法に匹敵します。ここではトートロジーの計算に慣れるために三段論法(肯定法)を証明し、次に仮言三段論法を証明したいと思います。
三段論法(肯定法)は、推論式でA、A→B=>Bが成立することです。これはAが真であり、A→B(AならばB)が真である時、Bは真であるというものです。これを論理式で表すと
[A^ (A→B)] →B
となります。論理計算の条件文の計算
| A | B |A→B|
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| T | T | T |
| T | F | F |
| F | T | T |
| F | F | T |
―――――――――
を参照しながら[A^ (A→B)]→Bを計算すると以下のようになります。
| A | B |A→B|A^ (A→B) | [A^ (A→B)]→B |
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| T | T | T | T | T |
| T | F | F | F | T |
| F | T | T | T | T |
| F | F | T | T | T |
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計算結果は[A^ (A→B)]→BがすべてT(真)となりトートロジーが成立しています。従って、この推論は正しいことになります。
いよいよ世間で言われる三段論法すなわち仮言三段論法を証明します。仮言三段論法はA→Bが真、B→Cが真であればA→Cが真であるというものです。これを推論式で書くと
A→B、B→C=> A→C
となります。これを論理式で書き直すと
[(A→B)^ (B→C)]→(A→C)
となります。この計算はA、B、Cの(T、F)の組み合わせが8通りになりますので。計算の表が大きくなりますが、条件文の計算表を参照しながら頑張って行なってみます。
| A | B | C |A→B | B→C | (A→B)^ (B→C) | A→C |[(A→B)^ (B→C)]→(A→C) |
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| T | T | T | T | T | T | T | T |
| T | T | F | T | F | F | F | T |
| T | F | T | F | T | F | T | T |
| T | F | F | F | T | F | F | T |
| F | T | T | T | T | T | T | T |
| F | T | F | T | F | F | T | T |
| F | F | T | T | T | T | T | T |
| F | F | F | T | T | T | T | T |
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最後の列(最も右側の列)の計算結果がすべてT(真)となり、トートロジーが成立しました。従って、論理数学的にも世間の三段論法は正しいと証明されました。これはA→BがTでB→CがTであるときはすべてA→CがTになっていることからも確かめられます。
コンピューターの最も基本的な計算は、論理計算であることはコンピュータを勉強し始めるときに最初に教わると思います。この論理計算が推論の計算を行えることはコンピューターが推論を行えることを示しています。1980年台にAIのエキスパートシステムが興隆したのは推論エンジンとして論理計算が推論計算を行えるからだったのです。