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経営ブログ

2022.10.31

Jアラート

監査役 古川 正志

2022年10月4日朝の7時半ごろにテレビの番組が突然ハイジャックされたようにJアラートを流しました.北海道上空を通過する可能性があるので地下か頑丈な建物に避難してくださいとの事でしたが,我が家でテレビを見ていた私にはそんなところあると狼狽えるのみでした.

 Jアラートの中身は北朝鮮から弾道ミサイルが打ち上げられ,北海道上空を通過する可能性があり,そのための警戒を呼びかけたものでした.後にその詳細がわかりましたが,弾道ミサイルは7時22分に北朝鮮から打ち上げられ,日本の東北地方の上空を超えて高度な1000km,飛行距離4600kmとわかりました.

 この情報を基にしてこのミサイルの速度を計算してみました.ミサイルは放物線で飛んでいきますから,水平方向の距離をx,高度をyとすれば

   y = -A(x-D/2)2 + C           (1)

の式で表すことができます.ここでAとCは係数,Dは飛行距離を表します.従って,D/2=2300(Km) になります.

 ミサイルの最高高度は飛行距離の中間点D/2=2300で達しますから,これを式(1)に代入すると

   1000 = -A(2300 - 2300)2 +C

となり

   C = 1000

が得られます.また,ミサイルの発車地点ではx=0, y=0(飛行距離0,高度0)ですから,これも式(1)に代入すると

   0 = -A(0-2300)2+ 1000

となります.これを計算すると

   A = 1000/23002 = 1/5290

が得られます.これらから式(1)は

   y = -1/5290(x-2300)2 + 1000        (2)

であることが分かります.

 この式を基にしてミサイルの速度を計算します.速度をv,飛行時間をtとすると飛行距離とその速度の関係は

   x = vdt                           (3)

今回,飛行距離4600kmに22分を要していますから,上の式(3)に代入すると

   vd = 4600/22 = 209.1 (km/min)

になります.従って,式(3)は

   x = 209.1t                       (4)

となります.式(4)を式(2)に代入すると飛行時間による高度が得られます.実際に代入すると

   y = -1/5290(209.1t-2300)2 + 1000   (5)

となります.

水平距離と高度の速度vhとvdは式(4)と式(5)を時間tで微分すれば得られ,以下のようになります.

   vd = dx/dt = 200 (km/min)

      vh = dy/dt = -2・209.1/5290(209.1t -2300) (km/min)

となります.この二つの式からミサイルの打ち上げにどのくらいの速度が必要かを計算してみます.ミサイルの速度vは,

   v = √(vd2 + vh2)               (6)

で計算できます.打ち上げ時はt = 0 ですから

   vd = 200 (km/min)

   vh = 2・(209.1/5290)・2300 = 181.8 (km/min)

になりますから,これを速度の式に代入すると

   v = √(2002+181.82) = √(40000+33060.7) = 270.3 (km/min)

となりおよそ分速170km/minでミサイルを打ち上げたことになります.これを秒速に直すと4.5km/secとなります.kmをmに変換すると4500m/secとなります.音速は340m/secですからこれを音速で表すと13.2マッハになります.

 ちなみに長距離弾道ミサイルの速度は約17マッハ,主な戦闘機は2〜3マッハと言われていますから,今回のミサイルの速度はこの計算に近いものになると想像できます.

 

 

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