監査役 古川正志
今年の連休中はコロナウイルスのため,ステイホームが要請されました.仕方なく,家の片付けや窓ふき,掃除,そしてテレビの乍ら視聴,気晴らしに近くの公園でのジョギングの生活となってしまいました.旭川の自宅近くの石狩川の隣の公園は私のジョギングのコースなのですが,人出もちらほらで,桜だけがこの春を満喫しているようです.といっても寒い日もあったので桜も春を満喫とはいかなかったかも知れません.という訳でどうしても話題はCOVID-19になります.
某全国紙の26面には,毎日コロナウイルスの感染者数の累計推移がグラフで掲載されています.テレビで発表される感染者の推移は毎日の感染者数で,累計推移はあまり発表されないので興味深いものがあります.累計推移は車でいえば走行距離数で,毎日の感染者数は1日の走行距離に相当します.この累計推移の棒グラフの輪郭をみるととても滑らかな曲線で,まるでシグモイド曲線のようです.シグモイド曲線とは成長曲線とも呼ばれ,初期の曲線の増加はほとんど無いのですが,途中から恐竜の尾から背中に至るような曲線で立ち上がり,その後もっとも高いところでほぼ一定になるような曲線をいいます.生物の成長が同じ様なグラフになるのでそう呼ばれます.シグモイド曲線はAIで使われるニューラルネットワークの活性化関数にも使用されています.
ところで近似的には,一日の感染者数は数学の微分に相当します.つまり,累計曲線の増加量になります.微分の値は累計曲線の差分に相当します.逆にいうと,毎日の感染者数すなわち微分の値を足し合わせていくと累計曲線になります.いま,累計曲線の日毎の感染者数の関数をF(日時)とします.このとき日毎の感染者数すなわち微分を関数f(日時)とします.そうすると微分の値は,近似的に
f(ある日)={F(ある日)--F(ある日の前日)}/(一日)
となります.逆に,積分は
F(今日)=f(0日目)x(1日)+f(1日目)x(1日)+...+ f(ある日) x(1日)...+ f(今日) x(1日)
となります.
こう述べると,毎日発表される感染者数は凸凹しているのでおかしいのではないかと考える人もでてくるかもしれません.その時は,感染者数のグラフを滑らかに描いたような曲線を考えてみて下さい.この曲線がf(日時)を表しています.積分の式から微分の値を求める公式が数値計算にあります.積分の式F(日時)が与えられると,f(ある日)の値は,
f(ある日)=1/2[{F(ある日の翌日)--F(ある日)}/(一日)
+{F(ある日の前日)--F(ある日)}/(一日)]
で求めます.つまりある日の翌日からある日までの増えた人数と,ある日の前日からある日までの増えた人数の平均を取って計算します.従って,f(日時)の曲線は滑らかになりますから,感染者数のグラフを滑らかに描いたような曲線になります.
こうして得られた曲線は,今後に同じようなことが起きた時のシミュレーション式になります.微分•積分は高校か大学のときに教わりますが,私たち一般社会とも多くかかわりがあるのです.
ところで,昨日(5月7日),留萌沖に鰊の群来が観測されたとのニュースがテレビで報じられました.ひよっとしてと思い月齢を確認したらやはり,15日で満月でした.自然界のいとなみの不思議さを感じました.