監査役 古川正志
第3回北海道ドローン選手権が9月28日に旭川市農業センター(愛称:花菜里ランド、旭川市神居町雨紛7)で,旭川ICT協議会主催で開催されました.このドローン大会の目的は,ドローンの操作技術を競うものではなく,ドローンに関する高度なICT技術を競うものです.その競技内容は,牧場に見立てた緑地に乳業,豚,鹿などのイミテーションの風船を配置し,乳牛の頭数をドローンからできるだけ短い時間で計数することです.このためには,
(1)GPSを利用したドローンの自動航行
(2)牧場内でのオブジェクトの自律的な発見
(3)発見されたオブジェクトからの乳牛の形状認識
の3つのICT技術が試されます.競技はこれの技術を細分化して点数化し,その総合点を競います.
参加チームは,これまでに北海道大学,北見工業大学,北海道情報大学,旭川工業高等専門学校,函館工業専門学校などから毎年約8校チームほどが参加しています.第1回は北海道大学工学部知能機械工学科のチーム,第2回は旭川工業高等専門学校システム制御情報工学科のチームが優勝しています.これまでの大会でも自動航行や乳牛のディープラーニングによる認識などの高度な技術を持ち寄ったチームや,航行は目視で乳牛の計数はパターン認識のチームなど様々な工夫が持ち込まれました.
昨年は,あいにくの雨の天気の中で旭川工業高等専門学校と北海道大学工学部情報エレクトロニクス学科のチームが高得点の争いとなったのですが,北海道大学のチームが着地点を外れたために旭川工業高等専門学校の優勝となりました.
今年の大会は,快晴に見舞われた素晴らしい天気のもとで行われました.この天気が勝敗を決めたのですから,面白いものです.今年の参加チームは北海道大学工学部情報エレクトロニクス学科,旭川工業高等専門学校,北見工業大学の2チームと総計4チームで競技が行われました.たまたま,時期的に大学生のインターンシップの時期とぶつかったこと,競技要項の発表が遅かったことが重なり準備をできなかったチームが出てしまいました.この辺は,来年に向けて運営する側の反省となりました.
今回の大会では,北海道大学と旭川工業高等専門学校のチームは上記の3条件を満たした,完全な自動航行でした.北見工業大学のチームは,航行を目視とし乳牛の計数を自動としていました.ドローンの予行練習は前日で霧雨でした.北海道大学のチームはこの天気に合わせてカメラの感度を調整したプログラムであったため,晴天の当日の天気では画像を白黒画像に直し乳牛の輪郭を確定するプログラムが芝生,乳牛とも光の反射で白くなり,計数できず,高得点を得ることができませんでした.旭川工業高等専門学校のチームは,ほぼ完全にドローンも飛び,プログラムも正常に動いていたので点数が低くなるはずがないはずでしたが,低得点に終わりました.後で,学生に理由を聞くとどうも報告書の乳牛の頭数の記入場所を間違えたかもしれないというものでした.そのため,航行が目視の北見工業大学Aチームが優勝,Bチームが準優勝という結果になりました.自然の影響と人為的なミスが高度の技術を阻害した一面を見せつけられました.
本大会の,森林や宅地での熊の発見,エゾシカの生息数の計数,など多くの将来性を持つ技術が必要であり,大会の趣旨目的もそのようになっています.
本大会は来年も開催されますが,私も乳牛認識のプログラムの雛形を配布し,企業の方の参加を募り,北海道地域でのドローン+ICT技術の発展を図りたいと考えています.
(北海道ドローン選手権実行委員会アドバイザー)